- 市場・顧客調査で本質把握
- 強み活用で戦略実践
- リスク管理を徹底
現代のビジネス環境は急激な技術革新と市場変動にさらされており、多角化戦略は企業が持続的に成長するための重要な経営手法として注目されています。
特に、主力事業のみで経営を行うリスクを回避し、さまざまな事業分野でシナジー効果を生み出すための手法は、20代の若手ビジネスマンにとっても学ぶべきポイントが数多くあります。
本記事では、経営コンサルタントとしての実績を持つ筆者の視点から、4種類の多角化戦略の概要、成功事例・失敗事例、そして戦略を実行する際の注意点について詳しく解説します。
多角化戦略とは
多角化戦略とは、従来の主力事業とは異なる市場や事業分野に新たな成長機会を求める経営戦略です。
この戦略は、単一の事業に依存するリスクを低減し、外部環境の変化に柔軟に対応するために企業が採用する手法の一つとなっています。
具体的には、新製品や新サービスの投入、市場のセグメント分割、あるいは既存の技術やノウハウを別の事業に応用することで、企業の収益源を複数に拡散させることが狙いです。
例えば、富士フイルムは写真フィルム事業の衰退を受け、医薬品や高機能材料への転換を進めることで、破壊的イノベーションを乗り越えた成功事例として広く知られています。
また、ソニーやセブンイレブン、オリックスといったグローバルおよび国内の大手企業も、各自の強みを活かしながら市場の変化に対応するために多角化戦略を積極的に推進してきました。
多角化戦略の4種類とその特徴
多角化戦略には大きく分けて4つの類型が存在します。それぞれの戦略は、自社の保有する経営資源や技術、さらには市場との関連性に応じて選択されます。
まず、水平型多角化戦略は、自社の主力事業で培った技術や生産ライン、販売網などのリソースを類似した市場に応用することで実現されます。
例えば、自動車メーカーが得た製造技術をバイクや農機市場に展開するケースが挙げられ、この戦略は比較的低い初期投資で新市場に参入できるメリットがあります。
次に、集中型多角化戦略は、既存事業で培ったノウハウを新しい市場や事業分野に転用する手法です。
最近のコロナ禍では、酒造メーカーが従来の技術を活かして消毒用アルコールの生産に着手した事例などが示すように、この戦略は外部環境の変化に即応する柔軟性を持ちます。
第三に、垂直型多角化戦略は、サプライチェーンの上流や下流に進出し、既存の業務フローや流通網を活用するアプローチです。
たとえば、繊維メーカーがアパレル製品の開発に乗り出すことや、ファストフード企業が食品加工や原材料生産に進出するケースが該当します。
この戦略は、企業全体として生産から販売までのプロセスで連携を強め、コスト削減と効率化を同時に実現できる点が特徴です。
最後に、集成型多角化戦略(コングロマリット型多角化戦略)は、既存事業とは全く異なる分野への進出を目指すハイリスク・ハイリターンな戦略です。
この場合、M&Aを活用し、異業種との統合を通じて新たな市場を開拓することが求められます。
大手コンビニエンスストアがATM事業を吸収し、金融業務にも参入した事例は、この戦略の代表的な例として知られています。
多角化戦略の成功事例とその要因
多角化戦略の成功事例として最も注目すべきは、富士フイルムおよびソニーのケースです。
富士フイルムは、写真フィルムの需要低下に直面した際、既存の感光材料や皮膜製品の技術を応用し、医薬品や半導体などの新たな市場に大胆に参入しました。
この戦略の成功は、技術力の高さと市場環境の変化を的確に捉えた経営判断によるものです。
ソニーは、家電、音楽、映画、ゲーム、金融と多岐にわたる分野への進出により、各事業間でのリスク分散を図り、ある分野の不振を他の成長事業でカバーしてきました。
これにより、グローバル企業としての地位を早期に確立し、経営の安定性を維持しています。
セブンイレブンにおいては、店舗展開に加え、プライベートブランドや物流システムの見直し、さらにはセブン銀行の設立により、コンビニエンスストアとしてのイメージを大きく刷新しました。
こうした成功例は、各企業が自社の強みや既存の事業資源を如何に有効活用し、新たな市場環境に適応していったかが、大きなポイントとなっています。
多角化戦略の注意点
多角化戦略の導入には多くのメリットがある一方で、企業経営におけるリスクや失敗の可能性も孕んでいます。
まず、複数の事業領域へ同時に経営資源を分散させることで、各事業の成長を促進する一方、主力事業への集中力が低下し、結果として経営の非効率化を招く恐れがあります。
実際に、RIZAPやAOKIホールディングス、ファーストリテイリングの一部事例は、適切なリスクコントロールを欠いた多角化戦略が各企業において業績悪化をもたらしたケースとして教訓となります。
また、各新規事業の市場調査や顧客分析が十分に行われない場合、参入後に予測外のコスト増大や市場シェアの低下が発生するリスクも無視できません。
市場・顧客調査を徹底し、仮説ベースで開始した新規事業でも、段階的にリアルタイムのデータを用いて戦略を修正することが重要です。
さらに、パートナー企業との連携不足やチャネルの拡大施策が欠落すると、既存の販売網や流通網を新規事業にうまく活用できず、シナジー効果を十分に発揮できない場合があります。
そのため、各企業は事前に経営資源の強みを徹底的に洗い出し、既存事業の持つポテンシャルと新規市場への適用可能性を的確に評価する必要があります。
また、集成型多角化戦略を採用する場合は、異なる分野間での統合作業に伴うガバナンスの問題も重要な懸念事項です。
M&Aを通じた企業統合においては、買収後の経営統合プロセスを明確に定め、失敗リスクを最小限に抑えるための対策を講じることが求められます。
このように、各多角化戦略には固有の注意点が存在するため、導入前に十分な検討とシミュレーションが不可欠となります。
多角化戦略成功のためのポイント
多角化戦略を成功に導くためには、以下の4つのポイントが重要です。
まず第一に、市場および顧客の詳細な調査と分析は必須です。新規分野に進出する際、仮説に基づいた調査を繰り返し行い、マーケットの特性や顧客の潜在ニーズを正確に把握することが大切です。
第二に、パートナー連携を強化することが挙げられます。自社単独では限られたリソースしか投入できない場合、信頼できるパートナーとの協業によって、資金や技術の面でリスクヘッジを図ることが可能です。
特に中小企業やスタートアップの場合、戦略的アライアンスは効率的な新規事業展開の鍵を握ります。
第三に、既存サービスのマイナーチェンジや市場の微調整を行うアプローチも効果的です。
既存の顧客基盤や販売チャネルを活用しつつ、少しの調整で新たな市場に対応できる場合、その迅速な対応が競争力を高める手段となります。
第四に、完全に新規の事業立ち上げにおいては、初期投資を小規模に抑え、段階的な成長を目指すことが推奨されます。
大規模な投資を一気に行うと、失敗した場合の財務リスクが非常に大きくなるため、リスク管理を徹底することが求められます。
これらのポイントを踏まえ、既存事業とのシナジー効果を最大限に活用しながら、柔軟に戦略を調整する体制が、多角化戦略の成功に直結するのです。
まとめ
本記事では、現代の激変する市場環境における成長戦略としての多角化戦略について、4つの主要な類型(水平型、集中型、垂直型、集成型)を中心に解説しました。
各戦略にはそれぞれ独自のメリットとリスクが存在し、特に技術力や既存事業の強みを如何に新たな市場に転用するかが重要なポイントとなります。
成功事例として、富士フイルムやソニー、セブンイレブンなどの企業が、環境変化に柔軟に対応しながら事業を多角化し、持続可能な成長を実現しています。
一方で、RIZAP、AOKIホールディングス、ファーストリテイリングの一部の失敗事例は、過剰なリスクテイクや経営資源の分散が如何に致命的な結果をもたらすかを示しています。
多角化戦略を検討する際には、市場・顧客調査やパートナーシップの強化、既存リソースの活用、そして段階的な投資戦略を十分に練ることが不可欠です。
これにより、主力事業とのバランスを保ちながら、新たな市場での成功を狙うことが可能となります。
多角化戦略は、外部環境の変動に対するリスクヘッジとしても、また企業全体の活性化や成長促進のための重要な取り組みとして、今後も一層注目される戦略であると言えるでしょう。
若手ビジネスマンをはじめとする新世代の経営者にとっては、単に知識として留まらず、自社の強みを深く理解し、適切に応用するための実践的な戦略として、多角化戦略を学ぶことは今後のキャリアにおいて大きな財産となるはずです。
企業が変化する市場環境に迅速に対応し、持続的な成長を遂げるための具体策として、今回紹介した多角化戦略の考え方と成功のポイントを、ぜひ今後の経営戦略の中に取り入れていただきたいと考えます。
先に受講したマーケティングに比較し、戦略思考は6回のストーリー性がなく、講座全体の再構築が必要と感じました。
このアンケート内容に限らず、必要に応じ改善のご提案したく思います。
■6回、各週のテーマ(タイトル)の統一性
微妙にゆらぎが多い印象を持ちました。
シラバスのテーマ
WEEK1戦略思考を捉えなおすとともに、・・・
WEEK2混沌とした場面における戦略思考のポイントを理解し、整理して考える力を身に着けます。
WEEK3差別化を考える際のポイントを理解し、実務で活用するイメージをつかみます。
WEEK4戦略における選択(捨てる)ことの必要性や難所を押さえ、実務で活用するイメージをつかみます。
WEEK5本質・メカニズムを捉える重要性を理解し、戦略思考を実務で活用するために必要な基本姿勢をイメージします。
WEEK6本講座での学びの総まとめを行うとともに、・・・
https://nano.globis.ac.jp/のタイトル
WEEK1戦略思考の大枠を理解する/学ぶ意義を認識する
WEEK2物事を整理して考える力をつける
WEEK3差別化のポイントを身につける
WEEK4戦略における選択(捨てる)を身につける
WEEK5メカニズムを捉え本質を見抜く
WEEK6総まとめ・今後の目指す姿を戦略的に構想する
ここまでの歩み
WEEK1戦略的思考とは?
WEEK2整合をとる
WEEK3差別化する
WEEK4捨てる (選択する)
WEEK5本質・メカニズムを提える
WEEK6本講座のまとめ/自身の今後を展望する
■フレームワークの暗記
3C、4P、SWOTをはじめとする多数のフレームワークの紹介はあるものの模擬問題数が少なすぎると思う
○○とは□□である、という暗記が多いのです。(ひとは覚えたくないのです。)
■PPTの説明内容
下記、当たり前すぎませんか?
・目指すべき適切なゴール(目的)を定め
・現在地からゴールまでの道のりを描き
・可能な限り最速・最短距離で到達する
■PPTの図の意味が理解できない
「戦略的思考のベースとなる思考様式」の説明が理解できません。
現在地→ゴール という記載に対し、下記の説明の“位置”の意味が不明です。位置
WEEK2視野を広げ、整合を取る
WEEK3差別化する
WEEK4選択する (捨てる)
WEEK5本質・メカニズムを捉える
具体的には なぜWEEK2が最上段にあり、WEEK5が最下段にあるか? ということです。