- 主体性で組織を牽引せよ
- 健全な議論で信頼築け
- 共に成長し成果創造せよ
現代のビジネス環境は急速な変化と多様な価値観の中で組織運営が求められており、単にリーダーシップだけでなく、チーム全体の能力を最大化するための「フォロワーシップ」が注目されています。
20代の若手ビジネスマンは、今後のキャリア構築や組織での活躍に向けて、リーダーシップと並んでフォロワーシップのスキルを身につけることが重要です。
本記事では、フォロワーシップの定義、リーダーシップとの関係性、そして実践する上での注意点や具体例について、専門的な視点から詳述します。
フォロワーシップとは
フォロワーシップとは、単にリーダーに従うという受動的な姿勢だけではなく、チーム全体の目標達成に向けて自らの意見や行動を積極的に展開する力を意味します。
具体的には、リーダーが示すビジョンや方向性を理解し、必要に応じて健全な批判や建設的な提言を行い、チームメンバー全体で最適な結果を導き出すために貢献する姿勢が求められます。
この視点では、フォロワーシップは役職や立場に依存せず、リーダーを含めた全メンバーに必要なスキルであると解釈できます。
例えば、リーダーが多忙であったり、環境変化に対応するための迅速な意思決定が難しい状況において、積極的に意見やアイデアを提供するフォロワーの存在が組織においては大きな力となります。
フォロワーシップは、組織の成果の大部分—一説では80%から90%に上ると言われる—を左右する要素として位置づけられています。
カーネギーメロン大学のロバート・ケリー教授が示す調査結果によれば、リーダーの意思決定が組織に与える影響はわずか10%から20%である一方、現場で実務を遂行するメンバーの行動が成果の大部分を占めることが明らかになっています。
このため、単にリーダーに従うだけでなく、自己の裁量で問題意識を持ち、必要な場面で建設的なフィードバックを行う「フォロワー」の存在は、組織全体のパフォーマンス向上に不可欠と言えるでしょう。
また、リーダーシップとフォロワーシップは相互に補完し合う関係性にあります。
リーダーはビジョンや方針を示す役割を担い、フォロワーはその方向性を具体的な行動計画に落とし込むことで実現に導きます。
リーダーの意思決定過程においても、フォロワーが批判的かつ積極的に意見を提示することで、最終的な成果が組織全体の合意形成を経て高いレベルに達するのです。
このように、フォロワーシップはリーダーシップを一層有効に機能させるための両輪の一つとして、現代の組織運営において非常に重要な概念となっています。
さらにロバート・ケリー教授は、フォロワーシップを批判的関与と積極的関与という2つの軸で分類し、メンバーを以下のように5つのタイプへと分類しています。
1.模範的フォロワー:リーダーに対して単なる従順さだけでなく、建設的な提言を行い、組織に積極的な貢献をする理想像。
2.孤立型フォロワー:意見は述べるものの、組織への実質的な貢献が薄い評論家的存在。
3.順応型フォロワー:リーダーの決定に盲目的に従うが、時として自らの判断力を発揮できない危険性がある。
4.消極的フォロワー:意見も行動もなく、組織内で存在感が希薄なタイプ。
5.実務型フォロワー:自身の業務を着実にこなす一方で、リーダーへの積極的な関与が欠けるという特徴があります。
このような分類は、組織内においてどのようなアプローチが最も効果的な結果を生むかを考える上で重要な視座を提供してくれます。
フォロワーシップの注意点
フォロワーシップを実践する際には、いくつかの注意点が存在します。
まず第一に、リーダーや組織の一員として、自己の役割や立場を正確に理解することが求められます。
変化の激しい現代社会において、リーダーもまた限界がある存在であり、フォロワーがその限界を補完する役割を果たすことは、組織全体の柔軟性と適応力を高めるために不可欠です。
リーダーの示すビジョンや意思決定に疑問が生じた場合、ただ単に批判をするのではなく、具体的な代替案や改善策を提示することが重要です。
その際、「クリティカルシンキング(批判的思考)」を身につけることが求められ、単なる反対意見ではなく、感情に流されず客観的に問題点を浮き彫りにする能力が必要とされます。
また、フォロワーシップを発揮するためには、組織内での健全なコミュニケーションが不可欠です。
リーダーの決定や指示が全メンバーに十分に浸透していない場合、誤解や不満が生じる可能性があります。
こうした状況に対しては、フォロワーがリーダーに対し、指示の背景や意図を確認するとともに、その情報をチーム全体に分かりやすく伝える努力が求められます。
これにより、チーム内の信頼関係が強化され、リーダーとフォロワーの間で双方向のコミュニケーションが促進される結果、全体のパフォーマンスが向上します。
さらに注意すべき点として、フォロワーシップを機能させるためには、自己犠牲や過度な従属関係に陥らないよう留意が必要です。
フォロワーとしての役割を担いつつも、主体性を失わず、自らの意見やアイデアを積極的に発信することが、組織の革新と持続的成長に寄与します。
また、フォロワーがリーダーに対し「健全な批判」を行う際には、相手を否定するのではなく、建設的で前向きな議論を心掛けることが極めて大切です。
この姿勢が、双方の信頼関係を維持しながら、組織全体の意思決定の質を高める結果につながるのです。
さらに、組織におけるフォロワーシップの実践は、一人一人が自らの業務を超えて、チーム全体の成功を意識した行動を取ることが求められるため、日常的な業務遂行の中でどのように自己啓発や知識のアップデートを行うかという点も重要です。
たとえば、グロービス経営大学院が提供する「クリティカルシンキング」講座や「組織行動とリーダーシップ」講座に参加することで、批判的思考やリーダーシップ、そしてフォロワーシップに必要な理論と実践的なスキルを効果的に学ぶことが可能になります。
こうした研修や外部講座の活用は、個々のスキルアップだけでなく、組織全体の成長戦略を支える上でも大変有益です。
なお、フォロワーシップの実践は一日や一週間で完結するものではなく、継続的な努力とフィードバックサイクルの中で進化させていくべきプロセスです。
若手ビジネスマンにとっては、日々の業務の中で何気なく行っている行動が、実はフォロワーシップを形成する基盤となっていることに気付くことが求められます。
自らの成長意欲とともに、組織全体の成功に貢献するための姿勢を持つことが、結果として自己のキャリアアップにもつながると考えられます。
まとめ
本記事で解説したように、フォロワーシップは単なるリーダーへの追随ではなく、チーム全体の成果を最大化させるために個々が主体的に働きかけ、建設的な意見や提案を実行する能力を指します。
リーダーシップが組織の方向性やビジョンを示す重要な役割を果たす一方で、フォロワーシップはそのビジョンを実現するための具体的な行動やフィードバック、そして健全な議論を促進する役割を担います。
特に、変化が激しい現代のビジネス環境においては、一人のリーダーにすべてを依存することはリスクを伴うため、メンバー各自が自己の役割と限界を理解しながら、積極的に組織を支える意識を持つことが求められます。
また、フォロワーシップの実践にあたっては、クリティカルシンキングを身につけ、リーダーや同僚との間で健全な意見交換を行うことが、組織全体の強化につながるといえます。
業務の現場で、指示の背景や目的を明確に理解し、必要に応じて他のメンバーにその情報を浸透させることで、信頼関係やチームワークの向上を実感できるでしょう。
実際に、国内外で高い評価を受けるビジネススクールが提供するフォロワーシップ関連の講座や研修は、こうした能力を体系的に学ぶための有力な手段として注目されています。
これからのキャリアを切り拓く若手ビジネスマンにとって、リーダーシップのみならずフォロワーシップの習得は、組織で生き抜くための重要なポータブルスキルとなります。
主体性をもって自らの役割を理解し、時にはリーダーよりも先んじて行動することで、周囲の信頼を獲得し、組織全体の方向性に貢献できるはずです。
今後のキャリアアップを目指す上で、フォロワーシップという視点を取り入れ、日々の業務の中で実践していくことが、結果的に自己の成長だけでなく、組織の競争力向上にも大きく寄与するでしょう。
最後に、フォロワーシップは決してリーダー不在を意味するものではなく、むしろ相互補完的な関係として、リーダーとフォロワーが一体となって組織の成功を築くための重要な要素です。
リーダーが示すビジョンや方向性に対して、どのように具体的な行動や提言を行い、フィードバックを通じて改善を促すかは、個々のビジネスマンが持つべき大きな責任と可能性を示しています。
そのため、若手である今のうちから、積極的にフォロワーシップの概念を学び、実践し続けることが、将来的なリーダーシップ発揮への近道となるでしょう。
今までは経験に基づいたリーダーシップで自己流になっていた部分が多々ありました。本講座を受講し理論を学ぶことができたことで、今後どのようにリーダーシップを発揮していけば良いのか、目指すべきことが見えました。あとは、現場の中で経験と理論を融合させシナジー効果を発揮できるよう学んだことをアウトプットしていきたいと思えるようになりモチベーションがあがりました。
また、自社の中での自分の立ち位置しか把握できていませんでしたが、色々な業種、職種の方とディスカッションすることができ、視野が広がり、自身を俯瞰して見れるようにもなり、とても刺激的でした。
インプットは習慣化していたつもりですが、アウトプットの習慣化はできていなかったことに気づきました。どちらもできないと効果が薄れてしまうことを認識できたので、今後は、どちらも習慣化していきたいと思います。