- 違和感記録が成長の鍵
- 本質追求で課題解決
- 組織対話で改善進化
現代のビジネス環境において、業務効率化や組織改善を進める中で「何に困っているか分からない職場」という状況は決して珍しくありません。
一見、業務に支障がなさそうに見えても、現場では非効率なプロセスや属人化、そして日常的に感じる違和感が累積する結果、問題の本質を見失っていることが多いのです。
本記事では、こうした「見えにくい課題」を洗い出し、課題発見力を高めるための5つのステップと実践フレームワークについて、2025年の最新の動向を踏まえながら解説します。
若手ビジネスマンとして、現状の問題点を正確に把握し改善アクションに結びつけるための考え方や手法を身につけることは、組織全体の成長に欠かせないスキルと言えるでしょう。
「何に困っているか分からない職場」の現状理解
「何に困っているか分からない職場」とは、現場で発生する非効率や違和感、さらには小さな不満が明文化されず、解決策として具体的に議論されることがない状況を指します。
この状態は、業務プロセスの属人化や情報共有の不足、そして「問題の言語化」が苦手な企業文化に起因しているケースが多く見受けられます。
例えば、業務の断片的な進捗や個々の違和感がSlackや日報、会議で表面化するものの、具体的な改善策として位置づけられず、何となくの「モヤモヤ」として積み重なってしまう状況です。
このように、課題そのものを言語化できずにいる現場では、本来解決すべき根本的な業務設計やフローの問題が見過ごされるリスクが高まります。
また、課題発見の際に「手段ありき」で物事が進められると、本来の問題意識が薄れ、形だけの改善活動に終始してしまうことも少なくありません。
課題発見力を高める5ステップと実践フレームワーク
課題発見力は、単に現状の不満や違和感を指摘するだけではなく、そこから具体的な改善策に結びつけるための基盤となる能力です。
ここでは、課題の言語化と整理、そして最終的に課題を改善アクションに転化するための5つの基本ステップについて詳しく説明します。
【ステップ1:違和感メモの作成】
業務中に感じる「なんとなく違和感がある」「手作業が多い」「説明が難しい」といった微細な違和感を、即時にメモに記録します。
これにより、現場で感じた不便さや非効率の種を見逃さず、後でまとめて議論するための貴重な情報ソースとなります。
このプロセスでは、形式にこだわる必要はなく、誰もが気軽に使えるツール(たとえば、日報の「気づき欄」や個人用のメモアプリ)を活用し、主観的な意見を積極的に可視化することが重要です。
【ステップ2:「なぜ」を五段階に問い直す(5Why分析)】
違和感メモで記録された内容に対して「なぜ?」を繰り返すことで、表面的な問題から根本原因までを明らかにしていく手法です。
例えば、「作業に時間がかかっている」場合、なぜ時間がかかるのかを5回程度繰り返し問うことで、情報の集約不足や業務プロセスの欠陥といった、より本質的な課題を浮き彫りにします。
この方法は、定性的な観察に基づく課題の洗い出しに有効であり、複雑な業務環境においても効果的に原因を探るための手法として多くの現場で採用されています。
【ステップ3:AsIs(現状)とToBe(理想)のギャップ分析】
現状の業務プロセスと、理想とする業務フローとの間にどのようなギャップが存在するのかを明確にします。
例えば、現在はExcelによる手作業での集計を行っている一方、理想としては自動集計システムの導入が望ましい場合、その差分や、どの部分に最も非効率が潜んでいるのかを図解やフローを用いて整理することが求められます。
こうした分析によって、現場に潜む「見えにくい課題」を具体的な改善ポイントとして抽出することができます。
【ステップ4:日報・チャットログなどからの主観情報の収集】
定期的に行われる日報、SlackやTeamsのチャットログ、KPTやYWTといった振り返りのフレームワークを利用し、現場の主観的な感覚を体系的に収集します。
この情報は、各個人が感じた違和感を集積し、共有課題として整理するための「課題の鉱脈」となります。
特に、属人化が進んでいる現場では、誰か一人の発言だけでは問題が浮かび上がらない場合がありますが、複数の記録を総合することで、共通するパターンや根本的な問題点を見出すことが可能です。
【ステップ5:生成AIによるパターン抽出と対話型アプローチ】
現代の技術である生成AIは、大量のテキストデータから頻出するフレーズや表現パターンを抽出し、「確認」「再対応」「手間」といったキーワードから、業務設計や情報共有上の根本的な課題を浮き彫りにします。
さらに、AIとの対話を通じて、自身が認識していなかった前提や盲点を指摘してもらうことで、課題の言語化が加速されます。
AIリテラシーと現場の業務知識を融合させる実践型研修は、生成AIの活用により、より精度の高い課題発見とその後の改善アクションを支援します。
注意すべき点と組織的アプローチ
課題発見のプロセスを実践する上で、いくつかの注意点と組織としての取り組みが必要です。
第一に、属人化を解消するために、情報共有の仕組みや、個々の違和感を気軽に共有できる文化の醸成が求められます。
部門間やチーム内での対話の習慣を定着させることで、「問題を言い出すこと」が評価され、批判ではなく前向きな改善の糸口として受け入れられる環境づくりが不可欠です。
例えば、毎週のKPTミーティングや、定例の「気になる点を話す時間」を設けるなどの取り組みは、組織全体で課題を見える化するうえで効果的です。
また、「手段ありき」で改善活動が進む現状では、ツールやシステムの導入そのものが目的化してしまい、本質的な問題解決から逸脱するリスクがあります。
そのため、導入するツールやプロセスが、実際に現場の課題解決に資するかどうか、常に見直しと評価を行うことが求められます。
特に生成AIのような最新技術を活用する場合には、技術そのものに頼るだけでなく、現場の業務理解と連携させた実践的な研修プログラムを併用することが成功の鍵となります。
さらに、課題の棚卸しシートや業務チェックリストといった定型的なフレームワークの活用も、組織全体での問題意識を共有する手段として有効です。
具体的には、業務の目的や意義を再確認し、現状のプロセスが果たして目的に資しているかを問う仕組みを導入することで、なんとなくの業務から具体的な改善点を抽出することが可能となります。
こうした取り組みは、現場の「見えない課題」を組織全体で明確にし、改善サイクルを継続的に回す基盤となるでしょう。
まとめ
本記事では、何に困っているか分からない職場という現状から抜け出すために、課題発見力の重要性とその強化方法について解説しました。
まず、職場で感じる小さな違和感や非効率は、単なる個人の感覚ではなく、属人化や情報の断絶、そして文化的な背景に起因していることが多い点を理解する必要があります。
その上で、違和感メモの作成、5Whyによる本質追求、AsIs/ToBeギャップの明確化、定期的な主観情報の収集、そして生成AIを活用したパターン抽出という5つのステップを通して、課題の言語化と整理を進めることが求められます。
さらに、組織全体での対話の習慣や、情報共有の仕組みを強化することで、課題が浮き彫りになるだけでなく、改善アクションに着実につなげる文化を育むことが可能です。
最終的に、課題を「見える化」し、具体的な改善策を講じることで、現場の停滞感を払拭し、業務効率化および組織の成長につなげることができます。
これからのビジネス環境において、若手ビジネスマンとして課題発見力を磨くことは、競争力向上と自己成長の両面で大いに意味を持つと言えるでしょう。
数年前にグロービス学び放題で一人で学んでいましたが今回ナノ単科に参加し仲間で学ぶことができ様々な気づきを得ることが出来ました。職種や年齢、立場を越えることで気づかなかった本質的な問題や学びを得ることができ感謝しております。